2010年8月12日、地域からアートを発信している越谷「MAP・KAPL」と北本「キタミン・ラボ舎」の二つの団体が、北本駅から徒歩10分ほどの北本タワー内、wahのオフィスにあるフットサル場に集まりました。5月にもサッカー対決をしている二つの団体がここで再戦しました。身体を通したコミュニケーションのあと、フットサル場で座談会を行いました。さて、どんな話が飛び出すのでしょうか?
スズキ:地域というところにこだわってアート活動を行っている二つの団体ですが、どんなこだわりがありますか?
北本:現代美術というだけでなく、地域の文化を作っていけるような活動にしたいと思っています。行政が中心となって始めた活動ですが、元々北本の中学校同級生が集まって、街でのデザイン活動を行っているKDPなど、北本の若い人たちとも協力をして、市民、地域プロデュースの専門家、行政とで協力して活動を作っていきたいと考えています。住民の活動、まちや地域づくりなども視野にいれながら、人と人が話したり、行動するきっかけを作りたいと思っています。例えば、今日来ていただいた北本タワー(キタミン・ラボ舎の拠点となっているビル)を地域に開放しています。みんなで映画を見ながらポップコーンを食べたり、地域の主婦の方に家にカレーを作ってもらってアーカイブしていったり、こちらが地域に出るだけでなく、入ってきてもらうことをしていきたいですね。
越谷:MAPは、人の行きかう商店街を舞台に、まちを「美術館」に見立てるアートプロジェクト。KAPLは、アートや美術教育の魅力を発信していくアートスペース。越谷では二つの活動を並行して行っていますが、作品を制作し、展示することはもちろん、どちらも「伝える」というところまでを作品としてとらえています。作品は人に見てもらって完成するという意識が強くあり、見てくれる人を意識して活動を続けています。例えば、MAPのメンバーは、作品出展の他にも運営など展覧会を作るにおいて必要なことを全員ができるようにしています。地域の人と協働して展覧会を作り上げることはとても貴重な体験になります。KAPLでは、作家にギャラリー内で展示をしてもらう際には、必ずワークショップやギャラリートークなどを考えてもらったり、見に来た人が主役になれるような取り組みを意識的に行い、地域の人が立ち寄れるような雰囲気を作り続けています。
スズキ:特徴的な二つの活動ですが、どんなところが独自であると考えていますか?
北本:「こういう活動があるんですがどうですか?」「こういうアートの制度があるんですけど、どうですか?」と中身を入れない状態で市民の方にプレゼンテーションしています。例えば、アーティストと協力していらない家具をいただいて集めたり、「おもしろ不動産プロジェクト」といって空いている部屋を調査して使い方を想像したり。こちらは方法を提示するだけなんです。まちの方はアートだと思ってないかもしれないし、現在はアートとして行っているけど何年かしたらアートでなくなることも多い。それでいいんだと思うんです。おもしろさを日常に求めています。
越谷:人の成長を視覚化して見せたいと考えています。美術教育が美術の一分野だとするならば、美術に関わることで人が成長することを見せるべきだと思うんです。MAPでは、作家や子どもたちの成長の過程をインタビューで追ってどのような心的な変化があるか見せていったり、KAPLでは、メンバーに美術教師が多いので、美術教育を多角的にとらえられるようなちょっとめずらしい取組を多く行っています。2010年8月には「美術教育は生きているか?5750分展Ⅱ」を行い、美術教師が中学校3年間の授業時間を使って作品を制作したり、人の成長をみせるような展覧会を行うことが多いです。
スズキ:生まれてきた背景は違うものの、二つの活動の根っこの部分は共通していると感じました。まちの中には魅力的なものがたくさんあり、そのものを見つけ提示するのもアートの力のひとつ。二つの独自の活動にこれからも注目していきたいと感じました。サッカーは、チームプレイ。ルールがあってお互いにゲームを楽しむことができるのは、集まった人が適材適所でがんばれるからこそ。信頼感やつながりがあるから長くアート活動ができるのかなと思いました。今回のサッカー対決では、越谷チームが負けてしまいましたが、再戦をしましょう!ありがとうございました。(M.S)
越谷
MAP(まちアートプロジェクト)
http://townart.exblog.jp/
2006年より埼玉県越谷市を舞台に、人の行き交う商店(毎年約40ヶ所)に作品を展示し、まち全体を「美術館」に見立てるアートプロジェクト。アートを通して、商店主との関わりの中で作品が生まれ、作品を通して地域の人との関わりが生まれている。
KAPL(コシガヤアートポイントラボ)
http://kapl.exblog.jp/
2008年7月、埼玉県越谷市にオープンしたアートスペース。閑静な住宅街の中にある開放的な空間で、月に1本の企画展を開催。誰もが主体的にアートに関われる企画を通し、「アートで何ができるか」を皆で考えていける機会を創造していく。
北本
キタミン・ラボ舎
http://kitamoto-arts.blogspot.com/
2008年8月に行われた「北本アーツキャンプ」がきっかけで発足した団体。アートと地域がともに手を取り、まちのこれからのあり方や新しい魅力を考え、今までの北本にはなかった試みを実践していくことを目標に活動を行っている。参加者は、現在約15名で、北本市民や市外からの学生等、幅広いメンバーが活動している。
北本市において土地に立脚した活動をどのように展開していけるのか、さまざまな方と意見交換して、アートという枠だけでなく、地域の文化、市民活動、まちや地域づくりなどについても話すきっかけをつくっていきたい。
スズキ(鈴木眞里子 まちアートプロジェクト代表・美術教師)
大学時代に作品制作・展示をしていく中で、美術館やギャラリーでは作品は興味のある人にしか見てもらえないということに疑問が生じる。「アートはもっと身近に楽しめコミュニケーションがうまれるもの」をキーワードに、気軽に誰でもアートを感じられるような作品展示やワークショップ、シンポジウムの開催など地域に根付いた活動を展開。大学院では「地域との連携による展覧会を活かした美術教育実践の開発」の研究を進める。美術を通して伝え合う力が高まり、自己と他者および社会との関係性について考えることのきっかけとなるという視点から美術や美術教育と携わっている。
サウンドアートとは何でしょう? まず思い出すのはSMFの参加アーティスト、松本秋則さんの「竹のサウンドオブジェ」。ひとつひとつが手作りの自動演奏装置は、竹という共通の素材を用いながら驚くほどバリエーション豊かです。2008 年には北浦和の商店街数十店舗に設置され、ユニークで味わい深い音色を響かせました。「素朴な音を聴きながら気分よく働けた。」と店主からも好評。作品を前に、お客さんとの会話も弾んだそうです。
翌2009 年には、河村陽介さん、三友周太さんによる「音の伝播-音の箱」が商店街に出現。いくつもの紙コップを取り付けた糸電話ボックスは、街の音を日常とはひと味違った形で体感できる装置です。繋ぐ糸を増やせば、拾う音の範囲も拡大。受話器を持つ指先にかすかな振動の伝わる、懐かしくも新しい糸電話遊びを、大人も子どもも楽しんでいました。
これらとは少し趣向の異なるのが、サウンドアートの第一人者として知られる藤本由紀夫さんの作品。記者の地元茨城で出会った「GARDEN-miyanomae」は、公園の広場に25脚の椅子を、毎日配置を変えて設置するというものでした。ゆったりと寛げば、耳に届く風や鳥の声。広場全体を眺めると、椅子とそこに座る人の姿が、リズムを奏でる音符のようにも見えてきます。音の鳴らない音楽を、この時初めて体験しました。
さて、以上から推測するに、サウンドアートとは、音の世界に体ごと入り込み、目と耳と肌で味わえるもの。その場所についての発見や、人と人とのやりとりを生み出すもののようです。4人の個性的なアーティストを迎え、10
月23日(土)、11月7日(日)、11月21日(日)に埼玉県立近代美術館で開催される「体感する美術-サウンドアートから」を、どうぞお楽しみに♪(A.O.)
【S】再三の【M】文字校メゲずに【F】ファイトだぜ☆みんな暑いなか執筆お疲れさまでした!(A.O.)/夏休みも終わりました。さぁ気合いを入れ直しますか(^^)(H.S)/ボランティア登録、お待ちしてま~す。(H.O.)/9月から新学期!SMFも中盤戦突入!(M.S)