SMFでは、さまざまなアート関係者の出会いや交流、人財や場所などの情報の蓄積を促すプログラムを「アートバンク」と題して行っています。「アート散歩」や「アートマップ」作成***もその一つ。今年度は、行田、鴻巣で「アート散歩」を実施し、県北地域でアートに関わる活動を行っている方や今後の活性化を試行する方々と出会う機会としました。
「アート寺子屋」は今年度から新たに始まったプログラム。専門家を招いてじっくりと話を聴いたり、刺激を与えあったりする、カジュアルながら大切な相互学習の場をめざし、「寺小屋」と名付けられました。幕開けは「アートプラットフォーム形成のためのメタデザイン」と題し、現代音楽、建築、アートプロジェクトなど、各分野の一線で活躍する方々を招き「逸脱する芸術表現」、「假設の知恵」、「創造性と社会性」の3回シリーズで開催され、熱心な受講者も交えて貴重な学びの場となりました。
埼玉県内を中心にユニークで意欲的なアート活動を展開している個人・団体が集い活動紹介や率直な意見交換を行い、新たな協働の契機とする「ラウンドテーブル」も4回目を迎えました。アトリエでの制作にとどまらず、都市空間や自然の中での展開を図り、社会に対してアートの可能性を開示する試みを行っている美術家を中心に6組の活動発表と意見交換を行いました。またラウンドテーブル参加者を含めてこれまでSMFの活動に関わっていただいた方々に、それぞれのアートの初夢を発表していただく「さんなすび展」を新春の美術館で開催、提案されたプランを共有・展開し、実現の可能性を探る「アートプロジェクトができるまで」を「アート寺子屋」として実施し、出展者・参加者のさまざまな接点を生み出すことで、協働に向けての課題を探りました。
「アートバンク」事業では、広報・発信や情報蓄積・整備も重要な役割を果たします。今年度もニュース紙「SMF PRESS」を、号外を含めて計6回発行しました。ホームページも一新、いっそうの充実を図りました。2009~11年の活動紹介の動画もインデックスを付して40本以上、見やすく整理されました。「SMFでつながる」のページもますます充実の予定です。facebookやtwitterのページとのリンクも貼られてSMFへの関心もじわじわと広がってきました。
文化庁のモデル事業、補助事業として5年間継続してきたこの事業も、一つの節目を迎えました。「身近な場所で アートを享受し支援し再創造するプラットフォームをめざします」を旗印に、ミュージアムとまちやひとを結び、地域の文化資源の活用を図ってきました。この事業の企画・運営の中心となってきたのは、アートの風増殖計画「風車プロジェクト」(2008年)から始まったSMFです。美術、建築、音楽、文学、ダンスなど、さまざまな分野の人材が集い、埼玉県立近代美術館や連携ミュージアムをキーステーションに活動してきました。5年間の蓄積を経て、SMFも新たな出発を図ることになりました。次のような趣意書に基づき来年度からメンバーシップ制の会として発足します。
SMF(Saitama Muse Forum)は、既成のジャンルにとらわれない自由な視点からさまざまなアートプログラムを企画して、アートをめぐって多くの人がつながっていくためのプラットフォームです。
SMFは、埼玉県立近代美術館に事務局を置き、埼玉県内各地のミュージアムをキーステーションとし、美術、建築、音楽、文学、ダンス、パフォーマンス、地域活動など、さまざまな領域のメンバーが活動します。
SMFは、さまざまな生き方をしてきた人が集い、触発しあいながら、まだ見たことも聴いたことも経験したこともないようなモノゴトを創りだすこと、これまで見えなかったモノゴトが見えるようになること、これまでとモノゴトが違ってみえるようになり、生きることが豊かになることを目指します。
このような活動を維持し発展させていくためには、多くのみなさんのあたたかいご理解、ご支援が欠かせません。寄付をしてくださる方々やともに汗をかいてくださる方々も必要です。この機会にあなたもSMFのアートの輪に加わり、多士済々の楽しい仲間たちとご一緒に活動なさいませんか。メンバーの募集要項・会則等については、ホームページでお知らせしています。お気軽にお問い合わせください。(問合せは、SMF事務局 メール:info.SMF@artplatform.jp fax:048-824-0118) ( M.N.)
***これまでに浦和、川口、川越、大宮のアートマップを作成。ホームページでご覧いただけます。
アトリアの〈新鋭作家展〉をご存じですか。同館がオープン当初より継続してきた、文化芸術の振興と新鋭作家の発掘・育成を目的とした公募展です。3月17日に会期を終えたばかりのこの企画について、担当の川﨑さんに取材させて頂きました。
会場では、前回の優秀者として選出された青木聖吾氏と遠藤研二氏の展覧会とともに〈第3回 新鋭作家展 二次審査(作品プレゼンテーション公開〉〉が同時開催されていました。川﨑さんによれば、今年の応募者は73名。北海道から九州、年齢も10代から60代と幅広く、全国に公募枠を広げて2年目の手応えを感じたそうです。新鋭=若手とは限らず、この先どんな表現をしていきたいのか、作品とともに作者の将来性を見るため、一次審査はポートフォリオをもとに行われました。出展に向けてのプランは今回インスタレーションが目立ち、優秀者の展示できる広いスペース、明るく開放的なアトリアの雰囲気に、多くの作家が魅力を感じている様子だったそうです。一次通過者9名がスタジオ内各ブースにてプレゼンテーションを行い、うち2名が次回〈第3回 新鋭作家展〉の出展作家に選ばれたところ。会場のコメント用紙に寄せられたお客さんからの率直な意見も、作家たちにとって大いに励みになることでしょう。展覧会の会期は限られていても、人とアートが育つ過程は年中無休。一年後の変化に期待しつつ、未来を担うアーティストの歩みを、あなたも見届けてみませんか。(A.O.)
※〈第3回 新鋭作家展〉は2014年6月の予定です。