SMF Press Vol.6(2011.9.1)裏面

新・港村

横浜「新・港村」参加!ハマとつながるHeart Art

SMFのオフィス
SMFのオフィス

7月初旬、建設中の“村”に集まった顔ぶれを見ての第一印象は「若ッ!」でした。いえ、実際の年齢層は20~60代と幅広いのですが、辺りに充満したエネルギーがそう思わせるのです。新しい場所で新しいことが始まる予感に、誰もが胸を弾ませているようでした。
赤レンガ倉庫の隣に開かれた「新・港村」は、ヨコハマトリエンナーレ2011(*1)の特別連携プログラムです。主催はBankART1929(*2)。呼びかけに応じた国内外のアーティストや企業、地域の活動団体などが“村民”となり、延べ床面積4,400m²の平屋建築の中に、期間限定の小さな未来都市を築いています。会場手前の集合住宅エリアにはSMFのオフィスも。SMF常連アーティスト、松本秋則さんの竹のサウンドオブジェが竹林を飾り、時おり吹き抜ける海風とともに涼を届けてくれます。自転車を漕いで削る人力かき氷の美味しいこと!節電と自家発電で会期をしのぐ過酷な条件も、アートで読み換えれば面白さになるのです。
一風変わった理髪店や手作りの靴工房など、家々が密集する下町エリアでとりわけ興味をひかれたのは、アーティスト毛原大樹さんによる「最後のテレビ」。全国地デジ化をよそに村限定のアナログテレビが放送されます。電波が弱すぎて村の外には届かないそうだけど…えっ、メディアが発信機能をなくしたらどうなっちゃうの???本当にどうなるんでしょうねと笑顔を返す毛原さんによれば、「撮影現場にいなくても情報を享受できるのが従来のテレビなら、ここで始まるのは、視聴者が現場に来て参加する以外に成立しないテレビ。時代を逆行すると見せかけて、今までにない新しいものにならざるを得ないんです。村を訪れる人との交流からコンテンツが生まれると期待して、楽しいアイディアを常に募集中です。」とのことでした。

前夜祭でのイベント
前夜祭でのイベント

こうして、村民とお客さんとで営むユニークな日常が、会期最終日の11月6日まで続く予定です。連携プログラムのヨコハマトリエンナーレが“作品”、黄金町バザール(*3)が“まち”を主役とするならば、新・港村では“人”が主役といえるでしょう。会期直前、工事は間に合うのかとハラハラしているうちに、自由な発想が次々と形をなしていく様を目にしました。建材の収集や建設の一部に横浜市民の協力があり、バスを使って東北とも交易します。場所が用途を定めるのではなく、活動の集合体が場所をつくっていく。アートを軸に、さまざまな人や出来事、情報が交差するプラットフォームは、SMFが未来に描く夢とも重なるようです。
現在、村のイベントスケジュールのすき間を狙って、気軽に作曲体験できる音モンタージュ・ワークショップとダンス公演を画策中!埼玉から一歩足を踏み出しどんな出会いの輪が広がるのか、とても楽しみです。(A.O.)

(*1)ヨコハマトリエンナーレ2011:横浜市で3年おきに開かれる現代アートの国際展覧会。4回目の今年は地域との連携プログラムを充実させ、会場のひとつをBankARTと交換して開催。

(*2)BankART1929:横浜市が推進する歴史的建造物を活用し、アートやその他多様なジャンルが交易する文化芸術創造の実験プログラム。2003年からスタート。

(*3)黄金町バザール:アートによるまちの再生をテーマに、2008年より活動を展開しているアートフェスティバル。

体験レポートロゴ

「すみだ川アートプロジェクト」に行ってきました。


ウキハラマキ隊ワークショップ&ツアー

東京でも有数の観光地でもある浅草。ここにあるヘンテコなオブジェがのっているビルを知っていますか?実はこのビル、アサヒビールの本社ビルなのです。
一度見たら忘れられないインパクトを放つビルの周辺と、浅草寺界隈、隅田川沿いで行われていた「すみだ川アートプロジェクト」に行ってきました。以前から面白そうだなぁ~と、とっても気になっていたんです。
2009年~2089年と80年の長期にわたるプロジェクトの3年目。今年は「『遊び上手な江戸の人たちにならってみようか』ということで江戸時代に狂歌師として名を馳せた大田南畝(おおたなんぽ)をお手本にすみだ川で遊びましょう。」という、いったい何が始まるんだろう?と感じてしまう不思議なテーマです。
このようなテーマのもと、6月19日から7月31日の間、古典から現代美術まで数多くのアーティスト達が思い思いに川遊びをしました。
毎度ながらのマイペースな取材のSMFプレス(笑)。SMFでも参加していただいている山尾麻耶さんの「川開き」は満員で参加することはできませんでした。(すごい残念)しかし、今回は西尾美也さんの「ウキハラマキ隊ワークショップ&ツアー」に飛び入り参加させていただくことができました!!
海水浴場でよく見るあの浮き輪に、隅田川の水を入れ、その浮き輪を着けて浅草寺周辺を練り歩いて「すみだ川の水」で遊びました。
浅草寺の観光客やお店の人たちは「え?なんで浮き輪??あれ?水が入ってるよ!?」と目がテンの状態でしたが、こればっかりはやってみないと分からないです。
実はこの浮き輪を着けてご飯を食べたり、歩いたりしていると、浮き輪が当たる所がひんやりしてとても気持ち良いのです。クーラーのように冷えすぎることもなく、ちょうど良い冷たさ。それに加え、水の「ちゃぷ、ちゃぷ」という音が涼しげな風を誘いました。そして、その音を聞いていると何処か別の空間にいるような感覚になります。触覚、視覚、聴覚、とさまざまな感覚を通してすみだ川を感じ、遊ぶことができたウキハラマキ隊ワークショップ&ツアーでした。
その後、トリオ・ザ・アートの「ベネチア大作戦in吾妻橋」というベネチアビエンナーレについてのとっても楽しい講演会に行ってきました。もちろん、壇上の方々も参加者もアサヒビールを飲みながらです。また最後に行われたじゃんけん大会で、私、優勝して豪華賞品をいただいてしまいました。(笑)
あと77回ある「すみだ川アートプロジェクト」、2089年には私も100歳近い年齢になっています。残りの77回はどんな楽しいことが起こるのか、おばあちゃんになっても是非行きたいですね。(H.S.)

編集者のつぶやき…

SMF もなでしこパワーで! Gは楽隠居(M.N.)
カラー印刷で生まれ変わりました(H.O.)
【S】さあいこう!【M】もっと自由に【F】ファンキーに♪(A.O.)
今年のプロジェクトも始まります。是非見にきてください。(H.S.)

執筆:(M.N)中村誠/(H.O.)小田浩子/(A.O.)小野寺茜/(H.S.)齋藤はるか
編集:SMF広報委員会 発行:「Saitama Art Platform 形成準備事業」実行委員会
〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 埼玉県立近代美術館内
問い合わせ:
文化庁 平成23年度文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業(ミュージアム活性化支援事業)
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