アート竜巻フェスタ@KAWAGUCHI

2008年10月11、18、25日

■ショッピングモールの谷間にアートの風吹く!

10月11日(土)風を運ぶ—風車のインスタレーション+風を踊る—創作ダンス

当日は朝からあいにくの雨模様。制作設営監修の根岸さんを囲み参加した80余名のボランティアスタッフとのミーテングの後、次第に雨脚も強まる中雨具を着用しての風車の設置作業で一日がスタートしました。ところが、不思議なことにスタッフの思いが天に通じたのか、準備を終え開幕時間を迎えるにつれ天候は回復。午後からは半袖シャツで丁度よい汗ばむほどの陽気となり、会場には、催しの噂を聞きつけてきた人や買い物帰りの親連れ等様々な人々が集い、数百人にも膨れ上がる程の賑わいを創り出していました。

アート竜巻フェスタ@kawaguchiムービータイトル

そして、大型ショッピングセンター、マンションの狭間にある公園を吹き抜ける心地よい風に踊る大小色とりどりの風車と、それに同化するがごとく展開する、ダンスユニット「転々」他による創作ダンスに人々は見入っていました。

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今回の会場は、80数余年の歴史を刻んだビール工場跡地で作家の根岸さんとも縁のある場所。ここでのインスタレーションのコンセプトは「展開」。各地を巡回し1200本余にも増幅した「かざぐるま」が表現する「過去から現在、未来」。アート竜巻フェスタ@川口の初日は、何か人知の及ばぬ「場の力」に導かれ、まさしく「アートの風吹き、人々の心に感動を刻む」、ともいえるような幕開けとなりました。

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■ちょっと待った、このアートツアー その名に偽りあり!

10月18日(土)風を楽しむ—川口ゆったりアート満喫ツアー

唯一の自主企画として実施した市内アート探索ツアーは、一昨年川口駅東口に開館したキュポ・ラからスタート。7階のメデアセブンでの新進気鋭作家「荒木珠奈」の作品展と館内各所設置作品を鑑賞後、一同徒歩で川口西公園(リリアパーク)の彫刻群を目指し移動。木立の中や散策路に立ち並ぶ佐藤忠良、舟越保武etc内外著名作家の作品に対面。鑑賞の合間、度重なる鳩の落し物に直撃され哀れな姿を晒した像を目の当たりにし、思わず、参加者一同憤慨!という場面も見受けられました。ここから一転、待機していたバスに乗車し本格的な過密ツアーが始動。市立西公民館に設置されている、近年ローマの古代遺跡での野外展で著名な安田侃の作品を鑑賞し、「こんな所に、この人の作品がなぜ?」という驚きの声もちらほら。次に市の鋳物資料室で、川口鋳物のアールデコの最高峰作「福禄ストーブ」、元鋳物工場のギャラリーKAFでリンク事業のゴトウ・シュウの作品鑑賞。そして、日本近代建築の父「J.コンドル」に縁のある国の有形登録文化財で川口が誇る宝物「田中家住宅」に下車。最後に、市立アートギャラリーで開催中の「動物図鑑展」を鑑賞し終了。絵画、彫刻、工芸、建築etcと工程を盛り込み過ぎてしまったため終始時間に追われ、その名とは程遠い駆け足ツアーと化してしまい、さすがに体の疲れを隠せぬ参加者。しかし、「心の充足感に満足している」との言葉にスタッフ一同安堵しました。

■埼玉のジンクス、見事に破りました!

10月25日(土)風を見る—バスカメラで我がまち川口・再発見

先に実施した各地が、必ず雨にたたられるというバスカメラでしたが、何と川口では天が味方し、瞬時日差しが覗く場面も窺える曇り空での計5便に及ぶ運行となりました。毎回参加者は、乗車前に監修の三友さんからその仕組みや見所のレクチャーを受けた後に醍醐味を体験。なお、三回目の運行時には、その生みの親でもある東京芸大の佐藤准教授が発着所のリリアに激励のため来訪されました。当日の参加者は老若男女様々、若いカップルあり親子づれあり、事前申込者に混じり係員の勧誘による飛び入り参加者も見受けられました。町のランドマーク「エルザタワー55」の高層建築や、曇り空によりセブンイレブンに代表されるコンビニ等の電飾看板が一際際立つという、晴天時とは違った面白さを醸し出していました。乗車中、車内中央に吊るされたスクリーン画像に見入りすぎ、バス酔いする子供たちも出現するというアクシデントも。カメラの内部を体感するとともに、日頃目の当たりにする町とは一風違った風景を通し、我が町を再発見する束の間の旅でした。

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■まとめ

一人でも多くの市民をこの竜巻の渦の中に巻き込む必要性と、美術施設がこの求心力を備えた発信塔となり、そして「出逢いと記憶」の創出の装置の役割を担うことを強く感じさせられたプロジェクトでした。参加者からの「何か楽しそう、何かありそう、面白そうだったから参加しました。」の声。日頃アートとの触れ合いの少ない人達のつぶやきから、アートとは、「ハレ」の世界のものではなく、「ケ」の世界の中にあってこそのもの。と近年各地で展開しているアートをツールとした町づくり型プロジェクトを垣間見て、その時流の確かさと効用を改めて再認識させられました。

小川順一郎(川口市立アートギャラリー[アトリア]副主幹・
アート竜巻フェスタ@KAWAGUCHI統括担当)